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更新日: 2025-07-15
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Fiddlerのインストール方法と使い方

Fiddlerは、Webトラフィックのキャプチャと解析を行うための強力なツールです。HTTPおよびHTTPSトラフィックを監視し、リクエストとレスポンスの詳細を確認することができます。特にHTTPSトラフィックをデコードする機能は非常に強力で、WebアプリケーションやREST APIのデバッグやトラブルシューティングに役立ちます。

Fiddlerの仕組み

Fiddlerは、クライアントコンピューターで動作するローカルプロキシーです。アプリケーションのトラフィックがFiddlerを経由し、Fiddlerがサーバーと通信します。これにより、FiddlerはすべてのHTTPおよびHTTPSリクエストとレスポンスをキャプチャし、解析することができます。

インストールと初期設定

  1. Fiddler Classicのダウンロードページにアクセスします。

  2. Fiddler End User License Agreementの内容を確認した後に同意し、フォームに必要事項を記入してDownload For Windowsボタンをクリックします。

    Fiddler Classicのダウンロード

  3. 用途でCorporate useを選択した場合は警告が表示されますので、確認した後にContinue to Fiddler Classicボタンをクリックします。

    Fiddler Classicの企業利用に関する警告

  4. ダウンロードしたFiddlerSetup.xxxxx.exeを実行し、インストールを開始します。

    Fiddler Classicのインストーラー起動

  5. Fiddler Classicのエンドユーザーライセンス契約書(EULA)が表示されますので、内容を確認した後にI Agreeボタンをクリックして同意します。

    Fiddler ClassicのEULAの確認

  6. インストール先のフォルダーを選択してInstallボタンをクリックします。

    Fiddler Classicのインストール実行

  7. インストールが完了したらCloseボタンをクリックしてインストールを完了します。

    インストーラーの終了

  8. スタートメニューからFiddler Classicを起動します。

    Fiddler Classicの起動

  9. 初回起動時にAppContainer Configurationのダイアログが表示されます。特に必要なければCancelボタンをクリックして次回以降確認が求められないようにします。

    AppContainerの構成確認

  10. メニューからTools>Optionsを選択してFiddler Classicのオプション画面を開きます。 オプションの選択

  11. HTTPSタブを選択し、Decrypt HTTPS trafficのチェックボックスをオンにします。

    HTTPSタブの選択

  12. Fiddler ClassicがHTTPSトラフィックをデコードするための証明書のインストール確認が求められますので、Yesボタンをクリックします。その後さらに確認のダイアログが表示されますので、インストール操作を行います。

    証明書の追加1

    証明書の追加2

    証明書の追加3

以上でFiddler Classicのインストールと初期設定が完了しました。これでWebトラフィックのキャプチャと解析を行う準備が整いました。

キャプチャ

Fiddler Classicを起動すると、デフォルトでWebトラフィックのキャプチャが開始されます。Fiddler Classicのメインウィンドウには、キャプチャされたHTTP/HTTPSリクエストとレスポンスの一覧が表示されます。ただし、キャプチャしたいトラフィックを行うアプリケーションによっては、Fiddler Classicが自動的にキャプチャできない場合があります。その場合は、以下の手順で設定を確認します。

ブラウザーおよびWinInet

Fiddler Classicは、起動時にユーザーのWinInetのプロキシー設定を自動的に書き換えます。この動作は、設定>ネットワークとインターネット>プロキシの設定からも確認することができます。

Fiddler Classicのプロキシ設定

EdgeやChromeを含むWindows上の主要なブラウザー製品はWinInetのプロキシー設定を使用しますので、この動作によりHTTP/HTTPSトラフィックが自動的にキャプチャされるようになります。

変更された設定はFiddler Classicの終了時に自動的に元に戻りますが、Fiddler Classicがクラッシュした場合は元に戻らない場合がありますので、手動で元に戻す必要があります。Fiddler Classicの設定が残った状態のままブラウザーを起動すると、ブラウザーやアプリケーションでインターネットにアクセスできなくなることがありますので注意してください。

WinHTTPを使用するアプリケーション

Fiddler Classicは、主に非対話型のサービスアプリケーションなどで利用されるWinHTTPのプロキシー設定を変更しません。WinHTTPを使用するアプリケーションからのトラフィックをキャプチャするには、手動でWinHTTPのプロキシー設定をFiddlerに合わせる必要があります。WinHTTPを使用するアプリケーションからのトラフィックをキャプチャするには、以下の手順を実行します。

  1. コマンドプロンプトを管理者として実行します。

  2. 次のコマンドを入力して、WinHTTPのプロキシ設定をFiddlerに合わせます。

    netsh winhttp set proxy 127.0.0.1:8888
    
  3. 設定を確認するには、次のコマンドを入力します。

    netsh winhttp show proxy
    
  4. WinHTTPのプロキシ設定を元に戻すには、次のコマンドを入力します。

    netsh winhttp reset proxy
    

.NET

.NETではプロキシー設定がHTTP_PROXYおよびHTTPS_PROXY環境変数から取得されます。Fiddler Classicはこれらの環境変数を自動的に設定しませんので、手動で設定する必要があります。

  • 環境変数を永続化しない場合は、コマンドプロンプトを開いて次のコマンドを入力した後に、続けてコマンドプロンプトからアプリケーションを起動します。

    set HTTP_PROXY=http://127.0.0.1:8888
    set HTTPS_PROXY=http://127.0.0.1:8888
    
  • 環境変数を永続化するには、システム環境変数に追加します。これには、システムのプロパティ>環境変数から設定できます。

ループバックに関する注意

Fiddler Classicはループバックアドレス(127.0.0.1)を使用しているアプリケーションのトラフィックをキャプチャできます。ただし、ループバックアドレスの場合には、アプリケーションがプロキシー設定を使用しないことがあります。特に、ローカルで動作するアプリケーションは、プロキシー設定を無視して直接通信を行うことがあります。そのため、ループバックアドレスを使用するアプリケーションのトラフィックをキャプチャするには、アプリケーションの設定を確認し、必要に応じてプロキシー設定を明示的に指定する必要があります。

トラフィック解析の例

ここでは例として、任意のバージョンのVisual Studioのオフラインレイアウトを作成するためのMinimalLayout.exeのトラフィックをキャプチャしてみます。あらかじめドキュメントの手順に沿ってツールをインストールしておいてください。

  1. Fiddler Classicを起動し、キャプチャを開始します。

  2. 他のプロセスの通信もキャプチャされるので、フィルターを追加してMinimalLayout.exeの通信のみを表示するようにします。メニューからRules>Custom Rulesを選択します。

  3. CustomRules.jsファイルがエディターで開きますので、以下のようにOnBeforeRequestハンドラーに条件を追加して保存します。(不要になったらフィルターはコメントアウトしておきましょう。)

    static function OnBeforeRequest(oSession: Session) {
        // MinimalLayout.exe以外の通信を非表示にするフィルター
        var processInfo = oSession["X-PROCESSINFO"];
        if(!processInfo || !processInfo.StartsWith("minimallayout:")){
            oSession["ui-hide"] = "true";
        }
        // 以降はFiddlerのデフォルトの処理を残しておきます。
    
  4. コマンドプロンプトを開き、MinimalLayout.exeを実行します。

    "C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\MinimalLayout\minimallayout.exe" preview --baseversion 15.9.0 --targetversion 15.9.1 --targetlocation c:\vslayout
    
  5. Fiddler Classicのメインウィンドウの左側のペインに、MinimalLayout.exeが行ったHTTPリクエストとレスポンスが表示されます。ここで、/vs/versionsのリクエストを選択すると、右側のペインにリクエストとレスポンスの詳細が表示されます。

    MinimalLayout.exeのトラフィックの様子

  6. Inspectorsタブを選択すると、リクエストとレスポンスの詳細な情報が表示されます。ここでは、HTTPヘッダーやボディの内容を確認できます。ここでは、/vs/versionsのリクエストに対して301リダイレクトが行われ、https://download.visualstudio.microsoft.com/...にリダイレクトされていることが確認できます。

    MinimalLayout.exeのトラフィックの詳細

  7. 左側のペインでhttps://download.visualstudio.microsoft.com/...のリクエストを選択すると、右側のペインにリダイレクト先のレスポンスが表示されます。レスポンスの欄でJSONタブを選択すると、レスポンスの内容がJSON形式で表示されます。ここでは、Visual Studioの各バージョンのURLが含まれている様子が確認できます。(ちなみに、このレスポンスを利用してVisual C++再頒布可能パッケージのリンクの一覧を生成しています。)

    MinimalLayout.exeのバージョン情報のレスポンス

参考情報